僕と死神

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 あいつはひらりと翻して僕の目の前に現れる。  見た目はイラストである死神と言った方が話は早いだろう。全身真っ黒な布で覆われており、足はない。  いや、あるかもしれないが暗闇と同化していて見えない。  手に鎌は握っていないが真っ白の手袋をはめている。  目元から鼻にかけては真っ白な仮面を被っている。僅かに出ている口元は人間と同じで薄いピンクの唇で、肌は健康的な色をしている。  化け物には違いないのに何となく人間味を感じさせる風貌は何度見ても不気味だ。 「話があるんだろう。早くしてくれ、僕はお前と違って明日学校なんだから」 「そう焦るな焦るな。今回の人は、前みたいに殴られることはないだろう。ほらよ」  口元だけニヤニヤとしながらあいつは真っ黒な宙に舞っていった。視線の先には先ほどはなかった大きな画面が現れる。いつもの通りだ。  アナログテレビの時に見られた砂嵐の音と映像が不気味な印象を色づける。その大きな画面の前には一人掛けの真っ赤なソファが置いてある。
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