祈り

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のぞみちゃんの顔はキャンパス。 右目の周りを囲むように咲いた花、青紫色。 「大丈夫だよ」って今日も笑ってる。微笑みは凶器だ。 のぞみちゃんが笑っているのを見ると苦しくなる。 「大丈夫」「なんともない」「平気だよ」 なんて言葉で許さないで 「たかしくんと一緒にいると安心するの。真夜中に眠れなくてもひとりぼっちじゃないって。ここにいてもいいって思えるの。幸せだよ」 真夜中、のぞみちゃんの心音を背中に聞きながら、 ぼくは祈る。 これは愛なんかじゃない。もうのぞみちゃんは必要ない。 起きているあいだの愛してるなんて言葉信じないで。 ぼくは真夜中の孤独にはなれている。 こわいのはあかるい方だ。 だからお願いします。 ぼくが目を瞑っているあいだにのぞみちゃんを逃がして。 ぼくからは離してあげられないから。 ぼくが眠っているあいだに。 のぞみちゃんはやく逃げて。また朝がきちゃうよ。
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