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ひと通りの説明を終えると、百合はフォークをおいて、考えるように眉間のあたりに指を当てて少しかがんだ。
「えーー犯人がわかりました。非常に頭がいいように見えますね。ふっふっふ」
声を震わせるようにしている百合。
「それ、何のモノマネ?」
「まだ、わからないのかね? 今泉くん!
」
「ああ、刑事ドラマの……何だっけ……名前が出てこない……んと、あ、そうだ右京さんだよね?!」
呆れたように百合がぶんぶんと首を振って立ち上がり、トレーを持ち返却台へ向かう。
「残念ながら相棒に今泉くんは出てきません」
トレーを返却台に戻してから百合の後を追う。
「あ! そうだよね、亀井さんだっけ? 亀井くんだっけ?」
先を歩いていた百合がくるっと後ろにいる私の方に振り向いた。
「相棒は亀山くんで、亀井さんは、十津川警部シリーズだから。全然違う!」
キレている。少し間違えただけで、ものすごいキレ方だ。
「舞、冗談じゃなくて、あんたヤバイよ巻き込まれてる」
「巻き込まれてる? え、何に?」
「詐欺事件よ」
「詐欺?! どうして? 身に覚えがないんだけど」
「あるでしょ。知らない彼氏よ。イケメンなのがおかしいんだけど……」
「イケメンがおかしいって何?」
「結婚詐欺師ってのは、案外イケメンじゃないのよ。結婚詐欺師の写真見ると『え、こんなブーちゃんに普通引っかかんないよね?』ってタイプだったりするの」
「へぇ、そうなの? ってちょっと待って! 百合、結婚詐欺師って何の話?」
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