おとり捜査A

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グラスビールで乾杯して、にこやかに雑談をしているうちに注文した品物が運ばれてきた。 鶏肉のレッドカレーは、ふた口食べただけでもかなり辛い。水をがぶ飲みし掌で顔を仰いだ。 「辛いか?」 「んーー、辛くて舌がピリピリする」 ハルに舌を少し出して見せた。 「俺は、結構辛いの大丈夫だから、残り引き受けるよ。舞は食べられるのだけ食べればいい」 「ありがとう……優しいよね、ハルって」 「今気がついたのか? 遅いなぁ」 「ごめんね、ハル」 肩をすくめながら、レッドカレーの入った器をハルの近くへ押し進める。 腿の上に置いていたスマホが震えた。 百合からのラインだ。 《今、トイレに行って》 《了解》 「ハル、ちょっとごめんね」 ハルに断ってから指示通りにトイレへ向かう。 トイレに行き、木製のドアを開け中へ入る。すぐ後から百合が入ってきた。 「時間がないから手短に言うわね」 「うん」 「1.イケメン過ぎ、2.爽やか過ぎ、3.スーツが高級過ぎ、4.行動がスマート過ぎ、5.完璧過ぎ」 「うん、だから……」 今日会ってますます感じた。やっぱりハルは本物の彼氏だ。ぜひ、そう思いたい。 「だから、ますます怪しい」 「え?」 「舞、早速任務を与えるわ」 「任務?」     
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