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おとり捜査A
★
いずれにしろ、ハルを呼び出して詐欺師かどうか観察したいと言う百合。
百合にかなり押されて、仕方なく私はハルをタイ料理屋に呼び出していた。
「待たせたな、ごめん」
爽やかな笑顔、ダークグレーのスーツをオシャレに着こなし現れたハル。
「仕事、大丈夫?」
「ああ、ちょうどタイミングが良かった」
私が座る椅子の方へ来たハル。私の頬に顔を近づけ軽くキスをする。
「あっ////」
慣れない事に驚いて、つい声を上げてしまった。それから、すぐに斜め横のテーブルに座ってこちらに顔を向けている百合の方を見た。
知らないフリをして座っている百合と目が合った。百合の瞳が不自然に大きくなり、ミネラルウォーターの入ったグラスにかけた指は、しっかり固まっていた。
「タイ料理か、久しぶりだなぁ」
向かい側の席に座りながら優しく微笑んだハルに、色々な意味ですごくドキドキしていた。
三カ月も付き合っていたら、いろんなことを2人で経験しているはずだ。
それなのに、記憶がないせいか、初めてデートする時みたいに緊張しているし、すごくときめいていた。
前に付き合ってた剛の時は、三カ月もたったらお互いに恥じらいまでなくなっていた。
剛は良く出るなって位に私の前で不用意にオナラを沢山出し始めたし、私は私で一緒に過ごした日の翌朝、平気でお尻のあたりをボリボリとかくことも出来ていた。
男性にときめいてしまうなんてことは、しばらくぶりで……意味もなく緊張し、スカートの布を握りしめていた。
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