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「そういう問題じゃない」  言っても仕方のないことは、光もわかっている。でも、言わずにはいられないのだ。そしてもうこの辺にしておかないと、水嶋だけでなく、哉菜にも怒られることもわかっていた。それでも最後に、未練がましく、泣きたい思いで哉菜を見ると、 「後でね」  優しく、諭すように言われて、無言で頷いた光は、二年一組の教室の中へ入っていった。友人たちのやり取りを傍で見ていた茉莉も、「わたしも行くね」と軽く手を振り、三人に背を向けた。残った三人も、誰からともなく、目の前の開け放しになっているドアから教室の中へ入る。 「どんな環境で育ったら、ああいう性格になるんやろうな」  中に入って、ドアを後ろ手に閉めた後、ボソッと漏らした由華悧の声が、やけにはっきりと聞こえた。
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