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   決して忘れることができないのは、息を引き取った姉の病室の匂い。  小さな姉の身体にすがり付いて泣きじゃくる母親と、彼女の肩を抱いて一緒に泣いていた父親。その様子を見守る一人の医師と三人の看護師。哉菜は、姉の足下辺りから大人たちを見ていた。身長が足りない所為で、姉の顔は見えなかった。  何故だろう。ベッドのすぐそばにいたはずなのに、記憶の中の大人たちは、みんな背中を見せている。
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