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足元をひとしきり見ていた源一は梨花の足で視線を止めると短い靴下を履いてる梨花の足首に紫色の線ができていた、それは両足にすっと線を引いたように両足首の同じ位置にあった。
「梨花、足首どうした?」
「どうしたって?」
「紫のラインが入ってるぞ」
「え!?」
慌てて足元を見た梨花も驚きの声を上げて自分の足元を見る。
「こんなの朝はなかったよ・・・・。さっきのタスキが・・・・」
「何かにぶつけたんじゃないのか?タスキが体に入るなんてことがあるかよ」
「でも、本当に」
「痛みはないのか?」
「うん、痛みはないよ・・」
軽く足首を触ったり、二、三回と足を動かして見ても何ら痛みが生ずることはなかった。
「痛みがないならよし!」
安堵した表情を見せた源一は近くの農協の街路時計をみた。もうしばらくすると梨花の乗る電車の時間が迫っていた。
「梨花、また帰ってきてから話をしよう。電車の時間もあるし、もし痛みが出るようなら病院に連れてっから」
肩を軽く叩かれる。
「うん、忙しいのにごめんなさい、行ってきます」
「いってらっしゃい、気をつけてな」
暗い顔を明るくして梨花は源一に笑みを見せてゆっくりと駅に向かって歩き始める。
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