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笑みを見せて彼女はスカートから伸びる長く立派な足をパシンと叩く。彼女のメンタルの強さには昔っから感心させられる。
「梨花はどうしたの?いつもこんなに遅くないじゃない?溺愛親父に朝から絡まれたの?」
「またその話題・・・」
祐一がクスクスと笑っている。
「同じ話題を俺も振ったの、やっぱり考えることは一緒か」
「仕方ないんじゃないの、それ以外にこんな遅くなる理由は思いつかないんだもの」
「いや、私だって遅くなることはあるよ」
「そん時はあんた、髪がメデューサヘアでしょ」
過去に一度だけ、遅刻したことがあった。完全な寝坊で慌ててメイクと髪型をセットして自宅を出たがその日は風がひどく髪は乱れに乱れて、教室に入った時にはクラス中の視線を集めてしまった。とにかく、すごくひどかったためクラスメイトが凍り付いていたが、その中で祐一と薫が吹き出したのち大爆笑したのをしっかりと覚えている。
「もうそんなことはないから!」
「だといいけどね」
「どういう意味?」
睨むわけでもなく、凍り付いた笑みを薫に向けた。
「あ、いや、なんでもない」
「ならいいのよ、なら」
遅刻の出来事以来、氷上の笑みを浮かべるすべを取得した梨花に2人は恐れおののく。
「メデューサ梨花」
ぼそりと呟いた祐一の腹部に本日に2発目のカバンがめり込む。
「なにか?」
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