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その後、ノートは理科の問題より右のページでの先生とのやり取りで会話が弾み、もはや『交換日記』と化していた。
ノートの交換ができなかった夏休みも終わり、待ち遠しかった2学期の最初のノートを受け取ると、何やら1枚の切符が挟まれていた。
何で切符が?
よく見ると、愛国駅から幸福駅行きの切符(注2)だった。
愛国!?
その『愛』という文字にドキリとし、その瞬間、また、胸がキュンッとなった。
ノートの右のページを見ると……
『夏休みに北海道旅行へ行って来たんだ。
切符はお土産。
幸せになれますように……』
あらためて切符を手に取り、『愛国駅から幸福駅ゆき』の文字を何度も何度も目でなぞった。
先生、どうして?
ただの生徒にこんな切符を渡さないよね!?
もしかして……これはメッセージ?
先生も私のことが好きなの!?
私も先生のことが大好きだよ!!
ドキドキが激しさを増し、どうにかなってしまうんじゃないかと思った。
※注2
愛国駅と幸福駅は、当時、北海道の帯広市にあった日本国有鉄道(国鉄)広尾線の駅である。
広尾線の廃線に伴い昭和62年(1987年)2月2日に廃駅となった。
この2つの駅は『愛の国から幸福へ』のキャッチフレーズとともにブームを巻き起こした。
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