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あいつをイメージするなら、それは、青。夏の日の空の、清々しいほどの青。それとも、どこまでも続くような海の色の青。
一目惚れじゃない。
あいつを初めて見たのは、確か、近所の公園。確か、小学校の入学式の帰り道。
俺は、父さんと家までの道をてくてく歩いていて、あいつは、やっぱり父親と一緒で、公園で遊んでいた。
「おーい!!」
公園からの声に、父さんが足を止める。
黒い短い髪の人が、満面の笑みで大きく手を振っていた。
父さんは、俺を見下ろして楽しげに笑った。
「ちょっと、いいか?」
そのときに、俺はあいつと出会った。
あいつは、ジャングルジムのてっぺんにいて、こっちを見ていた。
近くまで行って、俺があいつを見上げると目が合って、眩しいくらいにニカッと笑って、手を振ってきた。
その瞬間、世界が止まった感じがした。
誰なのかもわからない。まして、男か女かもわからない。
でも、捕まえたいと思ったんだ。
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