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うん、だから知ってるし。
「こんど、あそぼう?」
「うん、たつにもいっとく~」
達也、というのが、あいつの幼なじみ。当たり前のように、いつも一緒にいる。
正式に友だち認定されたことは嬉しい。でも、幼なじみ優先という感じがして、なんだか悔しい。
それからは、一緒に遊ぶようになって、たくさん話すようになって、次の年には、同じクラスになった。そしたら、もっと一緒にいられるようになって、達也の次くらいには、きっと、なれていて。
あの清々しいほどの青は、手の届くところまで近づいた。
近づいたのに、今俺は、あいつの傍にいない。
小学校の入学式の日、初めて会ったあの時から、もう8年が経った。
俺は今、都会の有名私立中学にいる。引っ越した訳じゃない。親戚の家にいて、将来のための布石とやらを打っているところだ。
俺は父親のような医者になりたい。
それを両親に話したら、何故かこうなった。
あいつに話したらーーーー
「マジ?!すっげー!ガンバれよ」
って、キラキラした目で言うから、引くに引けなくなった。
だけど
「あ、でもさ……りょーたがいないと、淋しいな」
「え?」
「手紙とか、書いていい?」
ホントに淋しそうに言うもんだから、俺の心臓は、ヤバいくらいにバクバクしていて、カッコ悪いくらい、真っ赤な顔をしていたと思う。
「……で、電話でもいいけど?」
「そっか!」
淋しそうだったあいつの顔が、パッと輝いて、ドキドキは止まらなくなった。
「電話なら、声も聴けるな!」
嬉しそうに言うな。期待するだろ。
こいつにとって、俺は友だちでしかないことはわかってる。それでも、今でもやっぱり、捕まえたいと思うから。
「俺、絶対ここに帰ってくる!」
宣言をして、2年が経った。
俺は、両親を説得し続けている。あいつの傍にいるために。あいつを捕まえるために。
あいつをイメージするなら、それは、青。夏の日の空の、清々しいほどの青。それとも、どこまでも続くような海の色の青。
俺の心を捕らえて離さない、眩しいくらいのーーーー。
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