1

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 うん、だから知ってるし。 「こんど、あそぼう?」 「うん、たつにもいっとく~」  達也、というのが、あいつの幼なじみ。当たり前のように、いつも一緒にいる。  正式に友だち認定されたことは嬉しい。でも、幼なじみ優先という感じがして、なんだか悔しい。  それからは、一緒に遊ぶようになって、たくさん話すようになって、次の年には、同じクラスになった。そしたら、もっと一緒にいられるようになって、達也の次くらいには、きっと、なれていて。  あの清々しいほどの青は、手の届くところまで近づいた。  近づいたのに、今俺は、あいつの傍にいない。  小学校の入学式の日、初めて会ったあの時から、もう8年が経った。  俺は今、都会の有名私立中学にいる。引っ越した訳じゃない。親戚の家にいて、将来のための布石とやらを打っているところだ。  俺は父親のような医者になりたい。  それを両親に話したら、何故かこうなった。  あいつに話したらーーーー 「マジ?!すっげー!ガンバれよ」  って、キラキラした目で言うから、引くに引けなくなった。  だけど 「あ、でもさ……りょーたがいないと、淋しいな」 「え?」 「手紙とか、書いていい?」  ホントに淋しそうに言うもんだから、俺の心臓は、ヤバいくらいにバクバクしていて、カッコ悪いくらい、真っ赤な顔をしていたと思う。 「……で、電話でもいいけど?」 「そっか!」  淋しそうだったあいつの顔が、パッと輝いて、ドキドキは止まらなくなった。 「電話なら、声も聴けるな!」  嬉しそうに言うな。期待するだろ。  こいつにとって、俺は友だちでしかないことはわかってる。それでも、今でもやっぱり、捕まえたいと思うから。 「俺、絶対ここに帰ってくる!」  宣言をして、2年が経った。  俺は、両親を説得し続けている。あいつの傍にいるために。あいつを捕まえるために。  あいつをイメージするなら、それは、青。夏の日の空の、清々しいほどの青。それとも、どこまでも続くような海の色の青。  俺の心を捕らえて離さない、眩しいくらいのーーーー。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加