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恋なんてしたことのない私に、転機が訪れた。真田薫、華の十七歳。セブンティーン満喫中の私に、突然気になる人が現れた。ずっとバスケしかしてこなかった私には、恋愛なんて無縁と思っていたから、正直今も信じられない。それでも、彼を見てしまうと胸の鼓動が止まらなくなって、試合中みたいに息も苦しくなってくる。  「薫、次移動教室」  私が惚けていて見かねたのか、友人の清水美優が声をかけてくれた。彼女は出席番号が前後でそこから仲良くなったんだけれど、友達を作るのが苦手な私と一緒に居てくれる唯一の友人で親友だ。そんな彼女にも好きな人がいるらしい。嫌なことに、私の気になる人と同じだった。   気になる彼こと岬健太郎君は、それはまあモテる。高校一年の頃から女子に騒がれていて、バスケにしか興味のなかった私の耳に、嫌でも入ってきていた名前だ。当時は噂しか聞いておらず、レギュラーになるために必死だった私は視界にも入れていなかった。 彼と出会い、彼に惹かれ始めたのは高校二年が始まる前の春休みのことだった。
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