第二章・―二転三転―

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「どうしても無理か?」 「無理……、というよりは……」  それで進退窮まったアルカードが、しばらく無言のままで考える仕草を見せた後、決心したように顔を上げる。 「分かった。では一度、父上に逢って欲しい」 「あぁ。正当な許可を得るためならば、何だってするよ」  提案を二つ返事で引き受けた彼が、アルカードの案内により、ランスロット、ジーラと連れ立って再び謁見の間へと赴く。 「恐らくはないと思うのだが、万が一父上からの許可が降りなかった場合は、諦めるか、他の方法を考えて欲しい」  とは言いつつも、わざとらしく“他の方法を考えて欲しい”と提示する辺り、あくまでも形式的なやり取りをほのめかしているようだ。  そこに気付いた彼も、苦笑しながら申し訳なさそうに頷く。 「済まない。アルカード、恩にきるよ」 「否。他ならないお前からの、滅多にない頼みなのだ。聞かない訳にはいかないさ」  そう、爽やかな笑みを浮かべる様は、まさに国中の女性を魅了しかねない魅力を伴うものだった。  そんな笑みを見返しながら、彼が続ける。 「大丈夫だ。この一件、必ず解決して見せるから」 「心強い味方だな」  笑い合う二人の隣で、安心しきった表情でいるランスロットも、すっかり事件を解決出来る気になっているようだ。
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