第二章・―二転三転―

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 そんなフーリッシュが、まともにキメラの子を捕らえられたとは、到底思えない。  フーリッシュが無傷で凱旋し、更には、未だに城内で何も不測の事態が起きていない事からも、キメラの子自体に何らかの問題が生じていて、未動きが取れない状態である可能性もまた、彼は視野に入れていた。 「そうだな。……見せる事は、国の恥ではない。彼らに用件があり、こちらが非礼を働いたのであれば、解決を最優先に動くのは、当たり前の話であろうな」  しばらく考え込んではいたが、やがで自分の中で結論が出たのか、そう言って立ち上がると彼に視線を向ける。 「非常に申し訳ない話ではあるが、カイル殿。キメラの長への、非礼に対する謝罪は必ずせねばなるまい。よって、そなたが地下牢へ出入りする旨、許可をする」 「ありがとうございます」  遂に国王直々に許可を得た彼は、深々と一礼する。  そうしてしばらくしてから顔を上げ、にっこり笑うと続けた。 「その点は御心配なさらぬよう。既にキメラの長とは話し合い、怒りを収めていただいております故。後は要求が通れば、大人しく帰ると、約束して下さいました」 「いつの間にそのような約束まで……」  あまりの手際の良さに、驚きを隠しきれないトリヴァニア王とアルカード、そして、ランスロットが同時に呟く。  その横手では、感心するどころか呆れた様子のジーラが浮遊したままで、ようやくの事で口をひらいた。
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