第二章・―二転三転―

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「こやつ、持ち前の人懐っこさを利用して、上手くキメラの長を手懐けおった」 「……」  俄には信じられない言葉に、ランスロットもアルカードも、一度顔を見合わせてから、彼を見詰める。  彼はというと、相変わらずのにこにこ顔で、ジーラから聞かされる嫌味など、どこ吹く風だ。 「では、行って参ります」  そうして、無言のままでいる面々をしりめに、颯爽と漆黒のマントを翻した彼は、そのまま地下牢へと直行する。  場所は知っているため、特に誰かの案内も必要ではない。  どこの国でも同じようなもので、地下牢は広い城内の裏手、しかも隅の方に造られていて、何故か日陰にあり日中でも陰鬱な雰囲気が漂っている。  草木が風に吹かれて揺れている地面が急に石畳のものへと変わり、そこから下へ続く階段があるのだが、当然の事ながら、誰かが不用意に入られないよう、鍵の掛かった柵に遮られていた。 「カイ、良かった……! 間に合った!」  鍵をどうするか悩んでいると、背後から声をかけられて振り返る。  すると、そこには鍵を手に持ち、走ってきたのか、息を切らしているアルカードの姿があった。 「地下牢へは、鍵がないと入れない。お前の事だから、無理にでもこじ開けようとするかと思ってな」 「ああ。ありがとう」  鍵を受け取り、取り敢えず礼を述べる彼に、ようやく息を整えたアルカードが爽やかに微笑む。
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