第二章・―二転三転―

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「至急の頼みを快く受けてくれた上、早急に解決しようとしてくれているのだから。私に出来る事ならば何でもするさ」 「大丈夫。一応こちらにもメリットはあったしな」  無理な頼みをしたのだからと、気を遣うアルカードを前に、いたずらっぽい笑みを浮かべた彼が、鍵を受け取りながら続けた。 「キメラの長殿“達”とは、気が合いそうだから、長い付き合いになる事を期待していてな」 「え……。否。あの、ほ、本気か?」  すっかり打ち解けた様子でいる彼に、疑いの眼差しを向けるアルカードであったが、次に視線を向けた相手……、ジーラが見せる表情から、放たれた言葉が冗談の類ではないと確信する。 「……あぁ。えっと、それは友人として?」 「勿論だ」  鍵を開けながら頷いてから、そのまますたすたと先へ歩く彼を追い駆ける。 「相変わらず……」  言い募るアルカードに、彼が自らの口に人差し指を当て、沈黙を促した。  それで沈黙したアルカードの耳にも、何やら獣のような、苦しそうな唸り声が地下牢の奥から響いているのが聴き取れた。 「……」  三人で顔を見合わせると、彼が動作だけで指示を出した。  取り敢えずはこのまま進むようだが、相手からの襲撃には備えて、いつでも応戦出来るようにと――。
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