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地下牢の間取りは、当然の事ながら、トランシルヴァ王国の第一王子であるアルカードが知り尽くしているため、合図をして先導する形を取る。
両脇には鉄格子で隔たれた狭い空間が幾つも連なっている。
地下独特の、湿っぽくカビ臭い空気と、昼間でも薄暗い特殊な空間が、不気味な雰囲気を醸し出している。
そんな中を進んで行くと、分かれ道があり、三人はそこで立ち止まる。
どちらへ進むべきなのか、彼が意見を促すように、アルカードへと視線だけを向ける。
そこでアルカードが、依然として聴こえてくる唸り声の主に気付かれないように、低い声で応えた。
「右手は今と同じような、石造りの独房が続いているのだが。左手は、特に凶悪な犯罪を犯した者を収容する、少しばかり広い空間がある」
幼体であるとはいえ、キメラの息子である以上、ある程度の広い場所が必要であろう。
そう判断したのか、彼が左手に行くと合図をするのに、ジーラも頷いた。
再びの静けさが、地下牢を支配する。
極力音がしないようにはしているが、地下牢には時折滴る水音の他に、彼らの足音が僅かに響く。
しばらく四方を石造りで囲まれた廊下を歩いて行くと、前方から厳重に閉められた鉄製の分厚そうな扉と、閂錠が姿を現した。
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