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こちらの道を選んだのは正解であったのか、どうやら苦しそうな唸り声は、扉の向こうから聴こえてくるようだ。
アルカードが懐から鍵を取り出し、閂錠を解錠する。
そうして重苦しい音と共に、遂に扉が開かれた。
途端に中から血生臭い、湿った空気が漂ってきたかと思うと、弱々しくはあるのだが、確かに迫力のある咆哮が、彼らの鼓膜を破るが如く木霊する。
加えてびりびりと、振動さえ感じる殺意に、思わず後退るアルカードであったが、彼はそんなものすらお構いなし、といった様子で声のする方へと歩いて行ったのだ。
「か、カイ……!」
慌てて少し追い駆けた先で、何故か彼が一点を見詰めながら立ち止まっていた。
そこには、先程までトランシルヴァ王国の上空を飛び交っていたのと同じ、キメラの姿が在った。
獅子と見紛う頭をもたげ、山羊の身体を持ち、恐ろしげに毒蛇の尾を揺らめかせながら、突然姿を現した彼らを睨み付けている。
「……」
鎖等で縛られているというような事はなかったが、咆哮するだけで攻撃はしてこなかったところから判断するに、どうやら万全の体調ではないらしい。
そこでふと、キメラが身体全体に渡るくらいの怪我をしている事に気が付いた。
先刻まで聴こえた苦しそうな唸り声はこのせいだったかと、アルカードが彼に視線を戻す。
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