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ラブレター全編
竹本チエちゃんへ
こんなこと畏まって言う必要はないのだけれど、僕は君が好きだ。
いや、キミが架空のキャラクターだっていうのは分かってはいるし、ましてや君が小学生だってことなんてことは百も承知だ――こういうことわざめいた書き方をすると君は嫌がるかもしれないが。
君と初めて会ったとき、君は劇場版だった。正直なところ――これは僕の口癖だ――君という人がいるのは前々から知っていた。だって君は有名人だからね。毎週君に会うのを楽しみにしていた人がどれだけいたことか。ウチの母もその一人だった。
――ごめん、ラブレターに母の話なんかして。とにかく、君はそういう存在だったんだ。君が好む、好まざるに関わらず。でも君はそんなこと気にしないかもね。「ウチ知らん。勝手にしたらええ」とピシャリと言ってほしい。
でも、僕は君にそんなことを言って貰えるだろうか。多分難しいんじゃないか、と僕は思っている。
僕の話をしてしまって恐縮だが、僕は今年27になった。
27――大変な年月が経過した。しかもここ二年は、眠ったような生活をしている。眠っているというのは、もちろんたとえ話だけれど。
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