作戦会議

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大陸歴438年霧の月七日・ダンジョン・マスタールーム ミリアリアを追って二度に渡ってダンジョンへと侵入してきたロジナ候国軍残党狩部隊57名は待ち受けていた死霊騎士率いるアンデット部隊によって全滅させられ、ミリアリアはそれを確認した後に彼等から救出したリーナ、アリーシャ、ライナの3人にここに至るまでの詳しい経緯の説明を行い、3人はミリアリアから告げられた話のあまりにも特異な内容に驚きの表情を浮かべた。 「そ、それじゃあ、このダンジョンってミリアリア様を追手から護る為に、造られたんですか?」 「……まあ、その、そう言う事になる、な」 話を聞き終えたリーナは唖然とした表情で周囲を見ながらミリアリアに問いかけ、ミリアリアが歯切れの悪い口調で応じるとアリーシャが恐る恐ると言った様子でミリアリアの隣に座るアイリスに視線を向けながら口を開いた。 「……そして、このダンジョンを造ったのがこちらにいらっしゃる……えっと、その」 「紹介はして貰ったけどあたしからはまだだったわね、あたしはアイリス、貴女達が言う所の魔王って言う奴よ、宜しくね」 アリーシャが言い淀んでいるとアイリスがのんびりとした口調で改めて3人に対して挨拶を行い、それを聞いたライナは驚きと戸惑いが入り交じった表情でアイリスを見詰めながら口を開く。 「黒髪に瑠璃色の瞳に白雪の様に白い肌、そして背中の蝙蝠の羽、確かにその姿は伝承に存在する魔王の特徴に合致しています、このダンジョンを一瞬で造り上げてしまった事やスキャニングの魔力波を感知しそれと同じ波長の魔力波を返してスキャニングを妨害する等の規格外とも言える能力、これらの特徴から見てもこの方が魔王と言う事に疑念を挟む余地はありませんが……」 「ライナ、貴女達ダークエルフは我々が把握していない魔王の情報を幾つか所持していると聞いた事があるのだが?」 ライナが呟いているとミリアリアがライナの方に視線を向けながら問いかけの言葉を発し、それを受けたライナは暫く思案した後にゆっくりと頭(かぶり)を振りながら口を開いた。 「確かに我々ダークエルフは魔王の情報に知悉しており、所有している魔王の情報量についても大陸屈指と思われます、ですが女性の魔王の情報については伝聞や噂話程度の物でさえ聞いた事がありません」
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