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よし、と綱島は内心思う。正直単騎での勝負を覚悟していたが、これはかなり心強い味方だ。
二回生の日吉は良く言えばオール・ラウンダー。平地もそれなりのパワーで牽け、インターバルにも強い。今日のコース・プロフィールではあまり関係が無いが登りもそれなりにこなせる。集団内の動き方もうまい。
もっとも、悪く言えば特徴が無いということになるがそれは本人も気にしているところだ。全てのレベルを上げれば素晴らしい選手になるので、今時点でそこまで気にする必要もないのだが。
対して綱島は、バリバリのスプリンターである。千トラ(1km独走)の持ちタイムは1:06:55。日本のプロのスプリンターにも負けない力はある。何も自分の努力だけでこうなったとは思わない。こういうのは、天賦の才が半分以上を占めるということを綱島は知っている。驕らない。
視線だけ動かす。いつもの学連のレースとは異なり、周りのバイクが良い値段をしている。自転車は金じゃねえ――と言うつもりはない。少なくとも、50万円くらいまでなら金は出しただけタイムや結果に繋がると思っているし、あながちそれは間違いではないだろう。金も実力のうちだ。
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