第3話 ナゾの夏眠

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 辻はそんな彼をチラリ、と見た後、晴を見て言う。 「開は家族以外の人間とのやり取りは絶対しない。物欲ないし、自分の中でそういうルール作ってるんだろう。誕生日もクリスマスもバレンタインやどんなイベントも、俺や友達、クラスメートでさえ、プレゼント交換とか一切やり取りしないから」  辻の話し方は、単調で感情の見えない棒読みに近い。表情も。  クールでストイックなイメージの人。  気持ちをこめて書かれた大切な手紙やプレゼントたち。  そんなふうに簡単に捨てられたら、自分が贈り主だったら悲しい……と思うんだケド。  元の位置に戻された、山盛りのゴミ箱を見つめる晴に、辻がトーンを変えて言う。 「学校中の生徒が憧れる生徒会長と、今日から一番近い距離で過ごす君にはドラマが待っている。ドキドキ展開の」 「えっ、どドキドキ!!??」  単純単細胞。  顔を上げて、思わぬハッピーセリフに目が輝く!  が。 「開に好意持つ人間全部敵に回すとどうなるか。海に沈められる、山に埋められる、コンテナの中に入れられ船で海外輸出」 「ブラックでアウトでバッドでエンドなドキドキじゃないですかっっ!!」 「水死、焼死、凍死、爆死、事故死、感電死、などなど多様なバリエーションから厳選チョイス」     
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