2人が本棚に入れています
本棚に追加
「真顔で説明するのやめて。私、明日生きてますか?」
もうイヤ。
両手で顔を覆い、ヨロヨロとその場にしゃがみ込む。
拒否を態度で示してみる。
「大丈夫。その件は的確に善処すると亜紀が言っていた。それに俺を含め、2年2組全員で君を守る」
「……つじセンパイ……」
単純単細胞。
顔を上げて、思わぬカンドーセリフに目が潤む!
が。
「君になにかあったら困るんだ。一体誰が開の世話をする?」
「心配するのソコですか、ソコですね、最重要ソコ!!!!」
殴りたい。
大切な人、大事な人、良い人、神様みたいな人。
2年2組のクラスメートたちは、口々に生徒会長のことをそう言いながら、でも必要以上に関わろうとしない。
希薄というか、都会ではソレが当たり前なのか。
他人とは常に一線を引き、深入りしないで、他人に対して常に冷めていて。
2週間前、自動改札を通れずに困惑してたジブンを思い出す。
あの時は誰一人教えてくれず、舌打ちされて、唯一声をかけてくれたのは、クラスメートの七瀬亜紀。
タイヘン非常に雑な説明だったけれど、彼女に救われたのは事実。
借りた恩は返すべきだろう。
「開が待ってる。行こう」
「…………………………………………」
立ち上がり、靴を履き替えて、晴は外に出た。
視線の先に七瀬の立ち姿。
下校する生徒たちが生徒会長に気付き、帰りの挨拶をすると、機械的に軽く手を上げて挨拶を返す。とても眠そうな顔。
そうして晴たち3人はゆっくり歩き出した。
いざ、晴の家へ。
* * *
晴の家に着いたのは夕方4時少し前。
鍵を開けて部屋の中に入ると、7月の暑さで中は蒸し暑くなっていた。
すぐにエアコンのスイッチを入れる。
辻が部屋を見回しながら言った。
「結構広い部屋なんだね。全室洋室?」
「あ、はい」
賃貸アパートの部屋は2LDK。
奥に8畳の部屋、そこに机やベッドを置いている。
手前に10畳の部屋、こちらはキッチンに繋がる間取りだが、スライド式ドアがあり間仕切りできる仕様。リビングとして使用している。
七瀬には奥の部屋を使用してもらうことにする。
兄が置いていった布団一式を自分の布団と交換して、自分の布団と持ち物をざっくり奥部屋からリビングへ移動。
私服に着替えるため、奥部屋へ2人が入って行く。
最初のコメントを投稿しよう!