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「男子にダントツ人気の美人で爆乳の、あの雪絵先輩? うわぁ」
どこからともなく聞こえてきたそんな話し声。
生徒会長は、全校生徒の憧れで、絶大なる人気と徐々に知る。
自分とは一生無縁だろう、高い高い高い、雲の上の王子様……。
* * *
「……ばなさん、立花さん、立花晴!!!!」
学校の昼休み。
生徒がまばらな教室の中、昼食を食べ終わり自分の席の椅子に座りぼんやりしていた晴は、呼ばれた声に気付いて顔を上げると、すぐ目の前に1人の少女の顔があった。
「ダレ」
「3週間前からあなたの前の席に座ってるクラスメートだけど」
「そうなの? ごめん、まだ顔と名前が覚えられなくて、というかこんなに人に囲まれた生活が初めてで人酔いしそう……東京って人口過密地帯だ」
山梨県まほろぼ郡まほろぼ村、というド田舎出身の晴は素直に東京の感想を述べた。
ビルとビルの間にビルが見えて、どこを見ても人、人、人の波。
家畜より人口が多いこと自体が初体験。
1学年に5クラス、1クラスに40人弱の生徒がいることもまだ信じられない。
頭の中でそんなことを考えていた時。
前の席の椅子を寄せ、座ったその少女が無表情で言った。
「突然だけど、あなたに貸してた借りを今日返してほしい」
「ハ?」
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