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小話1
「入院したって聞いたけど。」
「あー。まあ、ね。
杉浦が気にする事ないよ。特にアルファの中でも薬との相性が悪すぎるってだけだけだから。」
笑いながら言う安藤の顔色は健康そのものに見える。
「杉浦と友達辞めるつもりないし、一番簡単な方法がこれだったから。」
アルファのことを禄に知らない俺でも、プライドが高いアルファがわざわざ他人のオメガのために副作用の強いアルファ用の抑制剤を飲まない事くらいは知っている。
「そんな事より、俺の知り合いがゴメンな。」
申し訳なさそうに言われて、首を振る。
「そもそも、俺が第二性別を隠している所為だから……。」
そちらの方が楽だからとベータのフリをしているツケが回ってきたのだ。
その所為で都竹さんにも迷惑をかけた。
何よりもそれが嫌だった。
「えー、別にそれはいいんじゃないの?
俺も一々アルファですよなんて言って歩いてないし。」
グラスに残っていたアイスコーヒーを飲み込んで安藤が言う。
「アルファは違うだろ。」
そもそも、あのオメガに向けた自分の嫌悪感は多分オメガ特有のものだろう。もっと制御できたものなのかも知れない。
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