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「嫌いなやつ位、誰だっているし、フェロモンの匂いが合わないなんて普通の事だろ。
俺と“都竹さん”も多分お互いに嫌な匂いだと思ってるだろうし。」
そういえば前、安藤の匂いがついてしまった事があったのを思い出した。
「あと、多分だけど……。」
安藤はにっこりと笑った。
「上流階級のアルファはそんなに甘くは無いから。」
人の番から抑制剤奪った落とし前はつけざるを得ないだろうね。
安藤は当たり前の様に言った。
「そこまで……って安藤は入院したんだもんね。仕方が無いのか。」
「そうじゃないよ。俺のことはなーんも関係ないよ。」
ホント杉浦は当事者意識が無いよね。感覚が完全にベータそのものだ。
安藤は面白そうに笑う。
「間違いでも何でも、人の番に手を出すっていうのはそういうことだよ。」
そのとき安藤の見せた笑みは、普段の人のいい笑みではなく、ああ彼もアルファなのかと分かるのもだった。
「だからもう、番のアカシ見せてもチョーカーでもつけて歩いても、多分、杉浦の生活は変わらないと思うよ。」
少なくとも都竹の御曹司の番がうちの大学にいる事は分かっちゃっているんだから。
安藤のいきつけだというカフェは自分達二人以外他に客はいない。
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