第2章

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「そうね、考えておくわ」 実際のところ、私は今住んでいる家に一ミリの未練もないし、湊斗と一緒に住むのも悪くないと思っていた。問題があるとすれば、血液をどうやって確保するのか、くらいだが、それは後々考えればいい。 「今日はもう疲れただろう。奥の寝室のベッドを使うといい。さすがに疲れているところを襲うほど俺も狼じゃない」 「ありがとう、そうさせてもらうわ」 寝室はキングサイズのベッドが中央に置いてあり、その横のランプと台以外は何もない。リビングと同じようにシンプルな部屋で、私は疲れていることもあってかすぐに寝付くことができた。 「おやすみ、小夜」 目を開けると、見知らぬ天井が見えた。最初はいつものようにホテルにいるのだと思ったが、少し体を起こし、部屋を見回したところで記憶が追いついた。閉じられたカーテンから少し光が漏れている。スマホを見るともう4時になる頃だった。ほぼ一日中寝ていたらしい。リビングへ向かうと、湊斗がソファーで寝ているのが見えた。どうやら私に気を使ってくれたようだ。しゃがんで顔をのぞき込んで見ると、まるで小さな子どもかのように無防備に寝息を立てていて、顔を近づけてみるとたばこと香水の混ざった甘い香りがした。 「おはよう湊斗、朝よ」 耳元でそっと囁いてみると、湊斗のまつげが少し震えたがまたすぐに規則正しく寝息を立ててしまった。
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