帝都クレタ

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 強面のロビー係に教えられた受付に、シャルルはパテトと伴って向かう。シャルルもそうだが、パテトも本登録をしなければならない。  帝都のギルド本部という事もあり、登録窓口には列ができていた。3つの受付カウンターそれぞれに、10人程が並んでいる。シャルル達の様に地方で登録した冒険者が本登録を行う事もあれば、最初からここで登録をする冒険者もいるためだ。   登録手続きは面倒であり、1人当たり結構な時間を要する。冒険者になろうとする者達は往々にして気が短く、長時間並んでいる者達は相当イラついており、ほんの些細な事がきっかけで頻繁に揉め事が起きる。 「おい、今、お前の手が俺の肩に当たったんだが」 「はあ?知らねえよ」 「何だと、俺はこう見えてもレベルDなんだぞ?舐めてんのか!!」 「ああん?俺もレベルDだが、本登録さえすりゃあBに昇格するだけの力があるんだよ!!」  列の先頭から3番目と4番目の冒険者が、大声で掴み合いながら口論を始めた。  その光景を眺めながら、シャルルは思わず深い溜め息を吐いた。低次元な争いを見せ付けられても、何も得るものが無いばかりか、ただ鬱陶しいだけだ。  しかし、その溜め息を偶然耳にした冒険者が、今度はシャルルに近付いて来た。 「何だあ。田舎もんの小僧が、俺を馬鹿にしてんのか!?」 「ああ、もうウザイ」  シャルルの隣にいたパテトが、一歩前に出る。その瞬間、シャルルに絡んでいた冒険者が、腹部を押さえ、くの字になって倒れた。パテトはその冒険者の首根っこを無造作に掴み、そのまま列の最後尾に向かって投げ飛ばした。静まり返るロビー。一緒に騒いでいた冒険者は、列に戻って真っ直ぐに前を向いていた。  パテトが冒険者を撃退した以降、静かに登録手続きは進んだ。それでも、1時間以上経過してようやく2人の順番が回ってきた。 「シャルル様に、パテト様。お2人とも、本登録するという事で間違いありませんね?」  自分冒険者カードを差し出したシャルルとパテトは、ほぼ同時に頷いた。 「では、今後はクエストの達成状況等により、Cまでランクアップできますので頑張って下さいね」  その説明を聞き、シャルルは違和感を覚えて聞き返した。 「2人パーティだと、Dまでしか上がらないのでは?」  その問いに、今度は受付係が驚きの表情を見せた。 「登録は、3人パーティとなっていますけど」
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