帝都クレタ

14/14
9402人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
「まあ、皇族であれば、我々の情報を持っていても不思議ではありませんし、調べようと思えばいずれ分かった事ですから・・・でも、勝手に3人目のパーティメンバーになるとか、それはどうかと思うんですけど」  シャルルの投げ掛ける正論に、フィアリーヌ皇女は苦笑を浮かべる。しかし、軽く謝罪をする仕草は見せるものの、現状維持のまま押し切る。 「それは、まあ、すまない。昨日、盗賊一味の処遇が決定した後、直ぐに皇族の権力で強引に登録させてもらった。だが、それには理由があるのだ」  アルムス帝国の第三皇女がパーティメンバーになれば、自由が効かなくなる可能性がある。最悪、帝国の管理下に置かれる危険性まである。パテトは一国の王女ではあるが、国が存続しているかどうかも不透明であり、本人は冒険者として修業の最中だ。  そんなシャルルの胸中を見通したかの様に、フィアリーヌ皇女は笑みを浮かべて話す。 「そもそも、私は第三皇女ではあるが、ある事情により王位継承権が無い。10番目とか20番目とかではなく、序列に名前が存在しないのだ。それ故、皇族としての地位は限りなく低い。皇帝の娘であるという事以外、特に何も持たない。  ただ、生来の気質故か、戦闘力が高く、自衛手段としての練磨の末に、現在は近衛騎士団の副隊長をしている」  そこで一拍置き、フイアリーヌ皇女は前のめりになって続ける。 「貴殿達は、これからアポネ遺跡に向かうのであろう。遺跡への入場は、皇族がパーティメンバーである事により、特例として認めさせた」  フィアリーヌ皇女が視線を送ると、ギルドマスターが渋い表情で頷く。 「まあ、仕方なかろう。ギルドと帝国は、持ちつ持たれつじゃ。それに、当代の勇者が挑むのであれば、それを止める事はできぬ」 「挑む?」  不穏な言葉を耳にし、シャルルが聞き返す。しかし、その言葉は、見事なまでに聞き流された。 「もし、貴殿達が遺跡を踏破し、最奥の間に辿り着いたなら・・・  もし、貴殿達がこの先に進むのであれば、必ず私の力が必要になる。貴殿達が帰還し、勇者として、勇者パーティとして先を目指すのであれば、私はこの国を捨て共に行こう」  驚くシャルルの目を、緋色の瞳が縫い付ける。 「遊び心ではないのだ。私は自分の全てを賭して、貴殿のパーティメンバーとして加入したのだよ」  フィアリーヌ皇女は、屈託の無い笑顔を見せた。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!