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過去最大の大ピンチ!
イケメンが着崩した制服を乱暴に脱ぎ捨てていく。
そして露になった素肌に目を見開く俺。
えーと、何この暴力的なまでの筋肉……。努力とか鍛錬とか最も縁遠い顔して何でそんなにバッキバキなの?
君の先祖はゴリラ? それとも筋肉増強剤でも使っているのかい?
「そんなに怯えなくていいよ。……できるだけ優しくするから」
それ、俺が彼女(未定)に言いたかったセリフ!
「てか、何で脱がないの? 俺に脱がせて欲しいの?」
アホかー! 脱ぎたくないからに決まってんだろ!
「……さっきからちょっとお腹痛いんで病院行ってきますね! それじゃ!」
「待て。それなら家が薬屋やってるからウチに来るか?」
「いや、かかりつけのトコでお薬貰うから大丈夫です」
「遠慮するな。家には色々揃ってるし俺がみてやるよ」
「いえいえ、漢方薬しか飲めないんでかかりつけじゃないとダメなんすよ」
「奇遇だな。俺のじいさんは東洋医学の第一人者だから漢方薬も揃っているよ。まぁ、とりあえず脱げ」
ヒィィィ! 引きちぎらないで俺の服! 一個一個ボタンつけるの大変だから!
「……アンタ、色白で綺麗な肌してるんだな。すっげー興奮する……」
落ち着けイケメン! 俺みたいなモヤシはごまんといるよ!
覆いかぶさってくるイケメン。威圧感漂う胸筋。
あぁ、俺の“初めて“をこんな筋肉野郎に奪われてしまうのか。
非モテのオトンですら初体験は一応女のオカンだったのに。……神さま、俺になんの怨みがあるんです?
思わずシクシク泣いてしまったら、イケメンが正気を取り戻したらしく『ごめん、怖がらせたかな?』と謝ってきた。
「そういえば自己紹介まだだったな。俺の名前は穂波悠希。アンタは?」
「……川西和哉です」
「カズヤか、いい名前だね。俺は女みたい名前だからあんまり好きじゃないけど……特別にユキって呼んでもいいぜ」
ニコッと優しく笑うイケメンもといユキ。
色々疲れた俺は、名前だけでも女の子ならもういいやって思っちゃって。
“ユキちゃん”に抱き締められるのを目を閉じて静かに受け入れた。
*end*
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