おまけ編

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『さっきのお礼、まだやったなァ』  ユキちゃんにボコられたせいか電柱頭の顔がお岩さんのように腫れ上がっている。 『この面のせいで女にも逃げられたわ。たっぷり慰謝料もらわん事には腹の虫もおさまらへんな』  腫れた顔をさすりながら醜悪な笑みを浮かべる電柱。  元から逃げられちゃうようなお顔でしたよ? とは言えず、苦笑いする俺。 『おう、俺も慰謝料頼むわ。殴られてたし算もできへん体になってしもた。どう責任とってくれるんや?』  後ろからもヤンキー!  頭にプロジェクションマッピングされたようなレインボーヘアー男が俺を見下ろした。  たし算は元から(以下略)なのにどうしろと? てか、殴ったのユキちゃんだしそっちに言ってくれ! 『よし、とりあえずトラックにぶつかってこいや。それで金作れ』 『交渉はワイらがやったる。任しとけ!』  たし算も危うい奴らが俺に当たり屋をそそのかす始末。  下手したら死ぬレベル。ボコられるよりはるかにヤバイ。  神さま、俺に何の恨みがあるの? (二度目) お賽銭を2円しか入れなかったから? それとも教科書の大仏に鼻毛を足したから?  そんなささやかな悪事より保険金を狙うヤンキーに天罰を。次は全財産注ぎ込むんでどうかこの場からお助け下さいッ! 『ほな、大通り行こかーーヒデブッ』  俺の肩を掴んでいた電柱がくの字に吹き飛んだ。   続いてレインボーも『ゴフッ』と呻いて地に伏せた。 『……気安く俺の物に触んな』  絶妙のタイミングでユキちゃん登場!  ユキちゃんから逃げていた事を忘れて『ユキちゃん!』と抱きついた俺。 「大丈夫? ケガしてねぇか?」  優しい声音で心配するユキちゃん。 「大丈夫! ユキちゃんのおかげで助かったよ!」  するとユキちゃんはにっこり微笑み『そりゃあ良かった。でも俺はカズヤに頭突きされて具合いが悪いんだ』と両肩を掴んだ。 「……だからさ、あそこで休んで行こうぜ。当然カズヤが介抱してくれるよな?」  彼が指差す方向には【愛と鞭】と書かれた宿泊施設。  親友が“牢屋仕様だってよ(笑)”と呟いていた事を思い出し、すぐさま『今は200円しかないけど、ゲーム機売って慰謝料作るんで堪忍して下さい』と謝ったが問答無用で引きずられて行く非力な俺。  具合い悪い割に超元気なユキちゃんから逃れられず、もう二度と神頼みしねぇと心に誓った。               *BAD END?*
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