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入学式。
人生の晴れ舞台で俺は電柱みたいな髪型のヤンキーに絡まれていた。
「オイコラ、なんで200円しか出さねぇんだよ。なめとんのか?」
「…その、俺のおこづかい毎月200円なんで…」
「あ"? 小学生かテメー。その財布をよこせ!」
式が執り行なわれている体育館の隅で、個性が爆発したヤンキー達にカツアゲされる俺。
残念ながらこの学校にはヤンキーしかいない。
なんせここは悪名高き不良校。入学式だというのに来賓席はガラガラ。生徒は好き勝手な服装で校長の挨拶そっちのけでゲラゲラ笑っている。
そんな中、真面目に規定通りの制服を着用しているのは俺ぐらいだろう。逆にヤンキーの間で目立ってしまった。
「コイツ、マジで200円しか持ってねぇぞ!」
「身ぐるみ剥がそうぜ! どっかに隠し持ってるはずや」
これはヤバイ。つい最近親友に借りたDVDみたいな展開だけど、ガチで金持ってねぇからボコられるヤツやんけ!
なんかギャラリー集まってきたし! 教師陣は何やってんだよ!
『ーー入学おめでとう。以上です』
校長が挨拶を終えてそそくさと立ち去り教師も後に続く。
絶対気付いたはずなのに誰も注意する事なくアッサリ見捨てられたのは、こんな事が頻繁にあり助けても無駄だからだろう。
この学校で生き抜くには強さとガラの悪さが必要だ。
俺はその両方を持ち合わせていなかった。
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