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『お前の前世、カピバラっぽいよな』
こんな意味不明な台詞を親友に吐かれるぐらい俺は比較的穏やかな部類だと思う。
そんな性格でなぜこんなヤンキー校に入学したかと言うと、単に不運でどんくさい人間だったからだ。
本命の受験で食あたりになり、滑り止めの学校はインフルエンザでことごとくアウト。
この学校は名前を書いて出せば誰でも合格と言われていて、高熱の俺でもなんとか受験出来たのだ。
しかし、受験当日に隣の奴が牛みたいな鼻ピアスを着けているのを見て嫌な予感はしていた。
すげぇ口ひげのモヒカン野郎が俺の後ろに座ってたのも気になったし、ゴットファーザーが流れる改造車が廊下を走っている事も驚いた。
その時は高熱のせいで幻覚を見たんだと思っていたけれど……これなら浪人した方がマシだったかもしれない。
絶望の淵に立たされる中、通り過ぎようとした長身の男がふと立ち止まり俺の顔をじっと見つめた。
『カピバラみたいな奴が間違って入学してやんの(笑)』とか思ってんのかな。
女子もいるけど、俺より強そうな見た目でこの騒ぎにも動じる事なく笑っている。
つらい。オカンが肉の代わりにこんにゃくで焼肉した時よりもつらい。
「よーし。ズボンも脱がせちゃいまーす!」
もはや剣山にしかみえない髪型の奴が宣言したその瞬間。
俺を囲んでいたヤンキーが次々と倒れていった。
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