うっかりボーイズラブ

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 相手がどんな奴かも知らずに安請け合いした事を5分後には悔やんでいた。 『いいっすよ!』と言った瞬間、イケメンはゾッとするほど綺麗に微笑み『ついて来て』と何らかの倉庫へ案内した。  てっきり学校が終わった後の話だと思っていたから『今からっすか?』と間抜けな顔で尋ねると、『そうだよ』と返され戸惑う俺。  言われるがまま薄暗い倉庫に入り『電気付けますか?』と聞く前にキスされてしまった。  それでも俺はうっかりぶつかっただけだと思い込み『すんません、当たっちゃいましたね……』と苦笑いしようとしたけど、イケメンは『もしかして初めて?』と妙な事を言い出し、それに対して俺は『まぁ、何度か人と接触した事はありますけど』と、トンチンカンな事を言ってしまい『あ、でも唇には初めてです』と言い直した時には2度目の接触事故が起きていた。 「……歯が当たるから、もっと口開けて」  えーと。イケメン、ご乱心ですか? 「えっ? ちょっ! 何してるんっすかアンタ!?」 「何って…キスだけど?」 「いやいやいや、何で? 俺にアンタがキ、キスを?!」  動揺し過ぎて声が裏返ってしまった。  大事に取っておいたファーストキスが男だったのもショックだけど、ほのかに鉄の味がした事の方がなんか怖い。 「恋人なんだからキスぐらいするだろ。…もしかして照れてんの?」 「い、いつ俺とアンタがこっ恋人になったんすか!? ふざけるのは止めてください!」  するとイケメン、今までの優しげな口調をガラッと豹変させて『ふざけてんのはお前だろ?』と胸ぐらをつかんだ。
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