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『単純にアンタに一目惚れしたんだよ』
イケメンが笑いながらそう言ったが、余計混乱してきた。
どう考えても俺はイケメンが一目惚れするような容姿じゃない。
親友には『カピバラ』親しくない女子からは『ザコ顔』俺を生み出した親ですら『なんかに似てると思ってたけど、時々アンタ遮光器土偶にそっくりよ』……だ。
「一目惚れなんて冗談でしょ? だって君はイケメンだし美少女どころか美少年でも選び放題なのに、何でよりによって俺みたいな男を好きになるんですか?」
「……アンタ、昔飼ってた俺のペットに似てるんだよ。だから気になったんだ」
なるほど、ペット。
「……それって子犬かなんかですか?」
「いいや、バッタ」
まさかの虫ッ。せめて哺乳類だろそこは!
「やっぱおかしいよアンタ! 飼ってたバッタ似の男と何でキスしようとすんの?
百歩譲ってまだ犬なら顔なめてくるしわからんでもないけど、バッタとはありえないっしょ! だいたいなんでバッタなんだよ!」
「あ? 俺はいなごの佃煮が好きだし、死んだバッタも食ったぜ?なんか文句あんのか?」
……飼ってたのも食うんだ……?
このイケメン、クセがすげぇ……。
「ーーそろそろいいか? もう我慢できそうにないんだけど」
出逢ってすぐバッタ似の男に告白してきたこのイケメンに猟奇的なヤバさを感じ、頷くしかない俺。
“一刻も早く終わりますように”と先祖に祈りを捧げてギュッと目を閉じた。
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