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 ルビーに見せないとうるさいので仕方なく見せた。せっかく編集者に見せるなら印刷したものを見せた方がいいだろうと思い、結構な厚さになった紙を渡した。 「うっひゃー、滾るわーー」 「……ルビー、ちょっと気持ち悪いわよ」  彼女は数枚読んだだけで異常に喜び、持ち帰って赤ペンを入れてきてもいいかと言った。断るとまた面倒なことになりそうだ。仕事中にデスクの周りをうろちょろされたり、恨みがましげな目でじっと見つめてきたり、もしくは家まで付いてくる等のストーカー行為をされることが容易に想像できる。投げやりにOKを出すと、ルンルンとスキップでもしそうな足取りで会社から帰っていった。つくづく彼女は仕事が好きなんだなと思う。  翌日会社へ行くと、先に来ていたルビーが飼い主を見つけた犬のように駆け寄ってきた。目が真っ赤だ。そして手に持っていた紙も赤いペンがそこそこ入っていた。 「え、もう赤ペン入れ終わったの?」  驚いきながらも受け取ると、彼女はものすごく相手の神経を逆撫でするようなドヤ顔を向けてきた。 「当たり前でしょ、あたしを誰だと思ってんだよ。凄腕ルビーさんだぞ」 「……ああそう」  否定出来ないのが悔しいが、手渡された紙を見ると実に丁寧にペンが入れてある。小さな言葉のミスまでしっかり目が届いていた。もとは小説家に付いて編集者をやっていただけある。  ルビーは急に真剣な表情になって 「この小説、面白いよ。あたしが言うんだから間違いない。あんた多分出版社に持ち込んだりとかはする気無いんだと思うけど、それを世の中に出さないのはすごいもったいない事だよ。だからネットに上げなさい」 「え、」 「上げなさいよ?ちゃんとあたしのペンが入ったとこを修正してね?」 「……う、うん」  有無を言わせぬような視線でシャノンを射抜くと、ルビーは少し表情を緩めた。
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