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白髪の少女の急な覚醒により、驚きを隠せない俺ではあったものの、白髪の少女を救護するにあたっては俺の自己紹介なんてのは後回しにして白髪の少女の怪我を案じるべきだ。なんせ銃か何かで撃たれているわけだ。それなのに、白髪の少女は警察も救急車も呼ぶなというのだ。俺は今の状況をまったく飲み込めない。
何が起こっていて、この白髪の少女は一体、何者なのか。白髪の少女は俺の様子を見て、暫く下を向いた後ゆっくりと口を開いた。その表情は冷たいものであった。
「私の身を心配してくれるのは有難いのだけど、よく考えてもみてよ。目が覚めたら知らない男が手負いの私の肩を抱いて寝顔を覗き込んでいたのよ。恐怖以外の何物でもないわ。自分が何者か証明することは貴方にとって、とても重要な事だと思うのよ。そうでなければ、いたいけな手負い少女に痴漢を働いたゲス野郎って認識を貴方に対して私は持つのだけれど、それでもいいかしら?私は後日と言わずとも今から出るところにでてもいいのよ?」
覚醒した白髪の少女は無機質な表情で淡々と、そして怒涛の毒舌を言い放った。俺は白髪の少女の肩を抱いていた手を素早く離して、痴漢を疑われた男の様に両手を天井に突き上げた。
「自己紹介します!というか寧ろさせて下さい!俺は大神銀次!!ただただ通りすがった高校生だ!神に誓って君に危害を加えていないし、ただ本当に助けたいと思っているだけです!!」
誤解を解こうと誠心誠意弁解する俺を無機質な表情のままじっと見つめていた白髪の少女は口を開いた。
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