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◇
俺は苔だらけの階段を上がる。古びた鳥居をくぐると、賽銭箱の上で白い髪をなびかせる少女が目に入った。少女の顔は無機質で冷たい眼差しで俺のことを見据えている。
俺の家の裏にある山はもう随分と人の手が入らなくなってから随分と時が立っているのだろう。俺の覚えている限り、登山者も見た記憶なんてないくらいにこの山は人から忘れられている。俺のいま立っている廃れた神社なんていつからそこにあったのかもわからない。いつから人々に忘れられたのかもわからない。
もし誰かが迷い込んで、そんな廃神社の賽銭箱の上に座っている、白髪の少女を目撃したらどう思うだろうか?
美しくて、神々しくて、尊い。そんな白髪の少女を見ればこんなことを思うのではないか?
神様。と
白髪の少女はそんなことを考えている俺を見て、微笑を浮かべた。
「遅い。死ね」
「言い過ぎだろ!?なんだよその濃縮された二言は!?」
マグナム並みに一発一発破壊力のある言葉。いつもならカリストは俺のことを長々と毒舌で、それこそ毒属性のように1HPづつ減らして来るのに、今日に限っては必殺技から放ってくるとはどんな心境の変化だ?
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