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考えを巡らせる俺はじっとフェンスの向こうの工場跡を凝視していた。その時、ある感情が湧いてきた。恐怖と好奇心だ。一体このフェンスの向こうで何が起こっているのだろうか。
気がつけば俺はフェンスをよじ登り工場の敷地に入っていた。ちょっと見て回って何もなければすぐに帰ろうと自分に言い聞かせながら工場跡の奥へと足を進めた。
俺の足音が辺りの静けさに溶け込む様に鳴り響く。辺りを見渡すが、廃墟なわけでそこら中は雑草が伸び放題。壁には大きなヒビが入ったり、崩れていたり、金属という金属は錆び付いている。もちろん電気が通っていないから、暗い。けど月明かりの明るい夜であった事から真っ暗というわけでは無い。
しばらく工場跡を探索してみたけど、本当に静かだ。工場跡には不気味ではあるものの、不審なものなど何も見当たっていない。やっぱり俺が聞いた銃声や悲鳴は本当に俺の勘違いだったのかもしれない。俺は工場跡の真ん中に位置するだろう場所までくると「俺の勘違い説」が心の中で大きく拡大していた。
「俺の勘違いかな..」
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