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「俺の?何処が良いんだよ。俺はまだそんなに生きてないけど、ここの街での暮らしがほとんどだぞ。別に都会ってわけでもねぇし、さっきも言ったけど、家が裕福ってわけでもない。カリストが俺の人生代わりに送ってみれば退屈に思うだろうよ。なんの取り柄があるわけでもないしな」
俺には何の取り柄も無い、それこそ凡人なのだ。今でこそ異能者の仲間入りだが、本質は変わらない。そんなことを考えているとカリストが切り出した。
「私は大神君の取り柄を知っているわよ」
「どうせ、凡人なところとか言うんだろ?」
「惜しいわ」
惜しい?凡人いじりで他にもバリエーションがあるのかと俺が思考を巡らせていると、カリストが立ち上がった。そのまま俺の隣に腰掛け、ゆっくりと顔を俺に近づける。
「私に普通に接してくれていること」
カリストはそう言うと微笑んで俺の顔を覗き込んだ。カリストのその言葉に俺は身体中が熱くなった。心臓が激しく鼓動し始める。一昨日の夜にカリストがキスをしようと顔を近づけて来た時の様だ。
俺がドギマギしているとカリストが話し始めた。
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