119人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
昨日、大神君が私の手当をしてくれて帰ったあと、また一人になったの。いつも一人だから大丈夫だと思っていたけど、いざ一人になると大神君がいるうちには感じなかった『寂しい』という感情を私は思い出したのよ。だから、大神君が私に会いに来て、貴方とおしゃべりをする事がとても楽しみだったし、楽しいの」
カリストは溜まった感情を吐き出せた様で俺の隣でスッキリした様な面持ちで笑っていた。俺の視線に気がついて、急いで厳しい表情を浮かべて咳払いをした。
「つまり..寂しさを思い出させた責任はしっかりと取りなさい」
カリストはそう言うと、恥ずかしそうに俺を視線から外して小声で声を出した。
「出来るだけ、私を一人にしないで」
俺はそんなカリストを可愛らしく思い、思わず吹き出してしまった。イメージとのギャップがあり過ぎて、可笑しかったのだ。笑う俺をカリストは睨みつけていたが御構い無しに笑った。
「わかったよ。空いた時間はカリストに会いにくる」
俺はそう言うと、カリストに微笑みかけた。
「約束よ。破ったら爪切りを一生しなくてもいい便利な身体にしてあげるから」
「どんだけ爪を剥がすつもりなんだよ。わかった。約束だ」
そのあとはカリストが行ったことのある国の料理の話や、カルチャーショックに思えた事など、たわいもない会話を話していたら1日を終えた。こうして、俺の新たな日課が出来た。毎日、あの廃神社にカリストに会いに行くのだ。たわいもない会話をする為に。カリストを一人にしない為に。
最初のコメントを投稿しよう!