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しばらく俺は言葉を失った。怖かったからじゃない。何と言うか、その少女がとても..美しかったからだ。見惚れた。年は俺と同じくらいだろうか、よくわからない。透き通る様な白い肌に綺麗で神々しい白髪。手足なんかも細くて「尊い」とまで感じていた。暫く、俺はその白髪の少女に見惚れていた。白髪の少女が不意に顔を苦痛で歪めた。そこで俺は我に返った。
「だ、大丈夫ですか?」
恐る恐る声を掛けたが返事がない。呼吸はしている様で胸が沈んだり上がったりを繰り返していた。気を失っている。俺は白髪の少女を支え起こした。白髪の少女の肩を抱きかかえた。間近で見るとますます美しくて、神々しくて、尊かった。
抱えた手に生暖かさを感じて、自分の手に目をやった。俺の左手は紅く染まっていた。血だ。ベットリと俺の手に血が付いている。また俺の鼓動が激しくなる。俺は恐怖を堪えながら白髪の少女の肩に目をやった。白髪の少女の肩から赤黒い血が流れている。そこまでくると俺が先ほど聞いた銃声はこの白髪の少女に向けられたもので、悲鳴はこの白髪の少女のもので、さっき見つけた血溜まりも恐らく、この白髪の少女のものだ。
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