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プルルルルルル・・・プルルルルルル・・・
無機質な音のループが狭い駅のホームに響き渡る。
いつの間にか消えていた意識も呼びかけの音に反応し、現実の世界へと連れ戻された。
ここはどこなのだろうか。直前の記憶が全くと言っていいほど抜け落ちている。
目の前の焦点があってきたところで周りの状況を確認する。
ここはどこかの駅のホームらしい。しかし、身に覚えのない駅である。駅の周りには、草が生い茂っており、壁がなくとも一つの空間として成り立っている所謂(いわゆる)、田舎の駅だ。
そして、今にも止まりそうな古びた時計の針は丁度丑三つ時を指示している。
しかし、この状況をどうしたものか。もうとっくに終電の時間も過ぎてしまっているし、この駅もどこだかわからない。帰り方を調べようにも、さっきの着信を最後に動かなくなってしまった携帯は何の役にも立たないし、駅員さんもいないような無人駅であると周りの状況から察することができる。
とりあえず始発まで電車を待ってみるしか方法はなさそうである。
「ぐぅぅぅぅぅぅううううう」
気の抜けた音が静かな構内に響き渡る。椅子の隣に立てかけている自分のものであろうリュックの中を弄る(まさぐる)。中には昼ご飯の食べ残しと思わしきパンが袋に入った状態で見つかった。
駅の椅子に座りながらパンをむさぼり、只々針が回るのを待つのであった。
構内に異変を感じたのは、時計の長針が三十度傾いた後のことだった。
うたた寝していた僕はその異変にすぐ気が付いた。なぜなら、暗かった構内が急に不自然な光によって照らされたからだ。
さっきまでの眠気が嘘のように飛び、その異変を確かめようと発光源をたどった。
その異変は、昼間なら全く不思議と思わないが、今の時間、この状況においては目を疑うような不思議または不気味だと言い表すことができる。
いわずとも想像できた思うが一応補足しておこう。何の変哲もない電車がここへと向かってきている。変哲なのはこの状況だけである。
まもなく電車が僕の目の前で停車した。
プシューーーーーーーーーッ
僕はいつの間にかその電車に吸い込まれていた。否、本当に吸い込まれたわけではない。
不思議なその電車にいつの間にか魅せられていたのである。
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