青い空はどこまで続く

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もちろん、テツヤの家の人には、内緒だ。 「かーずーやーくーん。あーそぼ。」 玄関先でテツヤの声がした。まるで計ったように正確なやつだな。 まあ、それもそうか。 僕は、いつものように、海パンを穿いた上にTシャツを羽織り、母ちゃんに声を掛ける。 「いってきまーす。」 テツヤは年中海に居るので、肌の色が真っ黒だ。 さらに、目が大きく、まるで影にぽっかり目だけが浮いたように見える。 きょろきょろとした意思を持った目が、僕に向かって話し掛けてくる。 「今日は大物を狙うぞ。めちゃくちゃ魚が居る場所、見つけたんだ。」 これから始まる楽しい時間に思いを馳せ、わくわくしているテツヤを羨ましく思った。 僕の夏休みも楽しいはずだった。 いや、確かに楽しいのだ。 僕はこれから、海で泳ぎ、テツヤは大物をゲットし、僕らはきっとその魚でにわかバーベキューをこの浜辺でするのだ。 そして、家に帰ってからは、昼飯を食ったあとに、ショウタの家の離れの部屋で、クーラーをガンガンに効かせて、ゲーム機で遊ぶ。 そして、明日は、大好きな親戚のお兄ちゃんが帰郷してくるので、僕はそのお兄ちゃんと一日中遊ぶことができる。お兄ちゃんを僕は独り占めできるのだ。     
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