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お兄ちゃんは、いろんなことを知っている。地元のどこでカブトムシが獲れるのかとか、釣りの仕掛けのこととか。お兄ちゃんは、車が運転できるので、たまに叔父さんの車で、遊園地に連れて行ってくれたりする。
お盆には、家族で避暑地へ旅行もするはずだ。
川遊び、キャンプ、花火、夏祭り。
夏休みには、楽しみの全てが凝縮されているはずだ。
きっと間違いなく、これからの約40日間は楽しいのだ。
それなのに僕がこんなにも、浮かないのには理由がある。
その理由は、壁に掛かっているカレンダーに記されている。
「2018年 7月20日」
夏休み初日。
僕は、四度目の2018年7月20日を迎えた。
僕の人生は小学4年生の夏休みでずっと止まっている。
2年目は、カレンダーが間違っているのだと思った。
母ちゃんはうっかり物だから、去年のカレンダーを間違えてかけてると思ったのだ。
夏休みが終わるまで、全く気にしなかった。
ところが、新学期を向かえると、4月に5年生になったはずの僕は、4年生に逆戻りしていて、クラスメイトも4年生のクラスメイトに戻り、担任の先生も4年生のままだった。
僕は一生懸命、その異常を訴えたのだが、母ちゃんには何寝ボケてんのと一蹴され、担任の先生を困らせただけだった。
年度替りには、一応5年生に進級するので、どうやら原点は7月20日、夏休みの初日のようだ。
夏休み前までは、5年生のクラスメイトと一緒に過ごしているからだ。
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