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おじいさんは僕に向かってそう言った。
「なんで来たって?」
僕はおじいさんに問いかけた。
「この世は、もうお終いだ。折角お前をあの最高の夏休みに閉じ込めたというのに。
わざわざ、なんで終わらせたいというのだ。」
僕はわけがわからなかった。
「これがお前の未来だ。憲法の改正が可決したのが2018年7月。あれから数十年後、少子高齢化が進み、世界はあらゆる場所で戦争が勃発。徴兵制度により、年配者から徴兵が行われるようになった。フルアーマーの装備をつけられてな。いわゆる厄介払いと、世論を反映しての結論だ。お前にこんな未来を見せたくなかったのに。」
僕を閉じ込めたのは、未来の僕なの?
そんな世界は嫌だ。お願いだ。僕を元の世界に戻して。
僕の4年生を終わらせてくれ!
ボロボロに傷ついたおじいさんの目の前で僕は泣きながら叫んだのだ。
「ちょっと、起きてよ。どうしたの?」
僕は、体を揺すられ目が覚めた。
見覚えのある天井。
ああ、また4年生に戻ってきたのか。
僕は、あきらめにも似た感情でのろのろ体を起こす。
なんだか変だ。体がおかしい。
手を見る。大人の男の手だ。
「えっ。」
僕が顔を上げると、そこには、見たような顔の女の人が心配そうにのぞき込んでいた。
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