2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「何言ってるの?ずっと前から今日は雨って決まってるじゃない。」
「何故、わかるんだい?」
「何故って。国が決めてるからに決まってるでしょ?もう、何年も前から、お天気自動システムが稼働して雨の日と晴れの日が決められてるでしょ?寝ぼけてるの?」
未来はそんなことになっているのか。お天気まで自動制御できる時代になったのか。
「それとさ、そろそろ、お義父さんにも戦争に行ってもらわないとね。うちも生活、苦しいからさ。」
「えっ?」
「気持ちはわかるけどさ。うちだけじゃないんだよ?もうお隣の田中さんちだって、おじいちゃんが徴兵されてるんだからさ。そろそろうちの番だよ。」
「何を言ってるんだ、お前は。」
僕は、わけがわからなかった。
ふと、あの夢の中の老人を思い出した。
もしかして、あれは、未来の僕ではなく、父さん?
嘘だろう?
「優樹菜さん、飯はまだかね。」
「もう、お義父さん!さっき食べたでしょう?」
「優樹菜、何を言ってるんだ。父さん、今起きたばかりじゃないか。」
すると優樹菜は忌々しそうに僕を睨みつけると、ボソボソと小さな声でつぶやいた。
「呆けてることにしないと、徴兵されないでしょ?だいたいお年寄りに戦争なんてできるわけないじゃん。国策に逆らえとでも言うの?」
最初のコメントを投稿しよう!