それでも零戦は飛んで行く

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広がる初夏の青空の下、爆弾を抱えた十数機の零戦のエンジンが一斉にかかる。 先頭の零戦が爆音を鳴らし発進する。 見送る側からも爆音に負けんとする歓声が上がる… 「はる姉ー、兄ちゃんは今日も勇ましくアメリカ退治に行くんか?忙しいんね?いちにはずいぶんと顔を出さんのに…」 一絵(いちえ)が寂しそうに言う。 「アメリカと戦っとるんだから仕方ないし、それにもうじきアメリカも降参して、この戦争も終るし…」 何も知らないいちの言葉と飛んで行く零戦の編隊を見て私(はるか)は軽く涙ぐんで答える。
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