語らい

2/10
前へ
/10ページ
次へ
大陸歴438年霧の月七日夜・ダンジョン・浴室 会談の結果リーナ、アリーシャ、ライナの3人はこのダンジョンに暫く逗留して心身の回復に努めた後にラステンブルク伯国に向かう事となり、アイリスはそれに対応する為にダンジョンに手直しを施した。 アイリスは魔力捜索によってダンジョン付近に地下水脈が存在しているのを確認するとダンジョンクリエイティブの能力を使ってダンジョンと地下水脈の間を水路で繋いで飲料水を確保し、更に全滅した為に無人となった残党狩部隊のキャンプからミリアリア達が携行食料を分捕る事で当座の食料と水の問題を解決した。 当座の食料と水を確保したアイリスは再びダンジョンクリエイティブの能力を使用してミリアリアの部屋とリーナ、アリーシャ、ライナの3人が使う3人用の部屋、そして台所や浴室等の水回りの部屋にそれらの部屋とマスタールームを繋ぐ廊下を設置してミリアリア達の生活環境を整えた。 一同は、それらが終了した後に分捕った携行食料による簡単な食事を行い、食事を終えたライナ達は浴室で身を清めた後にあてがわれた部屋へと入って行った。 ミリアリアは部屋に入る3人と挨拶を交わした後に入浴の為に浴室へと向かい、脱衣所に入ったミリアリアはライトアーマーを外しながら10人くらいは楽に入れそうな脱衣所を見渡し、改めてアイリスの規格外の実力に舌を巻いていた。 (……これ程の物を瞬く間に造りあげてしまう、彼女には驚かされてばかりだな) ミリアリアそうんな風に思いながらライトアーマーや下着を外して生まれたままの姿になり、その後に髪紐を解いてポニーテールをほどいた後に浴室の扉を開けた。 浴室は10人程は余裕で入れそうな浴槽と広い洗い場によって構成されており、ミリアリアはその規模に感嘆と呆れを相半ばさせながら洗い場で身体を洗った後に浴槽に身を沈めた。 浴槽を満たしているお湯は程好い温かさに保たれており、温かなお湯に浸かったミリアリアは疲れが癒されていくのを感じながらこの浴室を含む規格外のダンジョンの主、魔王アイリスの事を考えていた。 (……魔王アイリス、伝承にも登場しない女性の魔王、そんな彼女は私を追手から護る為にこのダンジョンを造りあげてくれた) ミリアリアはそんな事を考えながら視線を浴槽に浸かる自分の身体を見詰めた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加